自分の家や土地が、徐々に、水に侵食され海の底に沈んでしまったら?
日本でも、台風の時期にそういった被害がニュースで毎年のように報道されます。
インドでも、恒常的な浸水被害で引越しを余儀なくされている人々がいるのをご存知でしょうか?

バングラデシュとの国境に広がるデルタ地帯、スンダルバンス。

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コルカタでの撮影ならサプタムまで。
ベンガル語を話すスタッフ在籍。
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地図の緑色の部分がスンダルバンスです。バングラデシュとの国境にまたがっていますね。

色からも分かるように、マングローブなどの海漂林が生い茂り、
ベンガルトラやガンジスイルカ、ここでしか見られない野鳥や動植物が暮らす
自然の楽園で、トラの特別保護区にもなっています。
ここを巡る観光向けのボートツアーもあるのだそう。

しかし自然に溢れた土地である一方、水辺で土壌が不安定なため、海からの影響を特に受けやすいのです。
ここ最近の温暖化による海面上昇により土地が海水に侵食され、
2001年時点で合計6402.090平方kmだったスンダルバンスの土地が、44.042平方kmもの土地の消失により2009年には6358.048平方kmと記録されているそうです。
それにより、多くの人々の暮らしに影響が出ています。
ここ30年間で、およそ7000人もの人々が立ち退かざるをえなくなったと言います。
度重なる引越しを余儀なくされる人々。
畑が侵食されたため、収入の為に森へ蜂蜜取りに行き、トラに襲われた人々。
職と家を失い、コルカタの市街地へそういった人々が沢山流れ、スラムを形成し、主に土木工事や清掃業、女性は娼婦などの性産業に従事する人も多いのだとか・・。

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インドの自然環境に関する
有識者へのリサーチならサプタムまで。
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細長いデルタ地帯には数多くの川が流れているのですが、
10数年前は川の向こう岸で話している人の声が聞こえるくらい、向こう岸との距離が近かったのに、今は双眼鏡でないと向こう岸を見ることができなくなった程、
侵食によりデルタ内の川幅も広がっています。

世界的にもこの問題は「環境難民・移民(environmental migrant)」、または「Climate refugees”(気候変動難民)」という言葉で認識され始めています。
インドだけではなく環境汚染が著しい中国もその中に入っているよう。


以下の動画はスウェーデンの公衆衛生学者ハンス・ロスリングのスピーチです。
欧米諸国にとって変わってアジアが世界の中心になる、と彼は予想しています。

2048年には統計学的にインドは健康面・経済面の総合点でトップを行くのだそう。
ですが、この気候変動もそれを妨げる懸念材料のひとつだと言及しています。